
コラム
評価軸を書き換えたら、過去の面接で試せる
評価軸は、一度決めたら終わりではありません。AI面接では面接の全対話記録が残るため、評価軸を書き換えたあとで、過去の面接を新しい評価軸で採点し直せます。人の面接では難しいこの見直しが、なぜAI面接でできるのか、どこまでできて、何ができないのかをまとめました。
人の面接では
評価軸を変えても、過去の面接は採点し直しにくい
選考を続けていると、評価軸を見直したくなる場面があります。入社後に活躍している人の共通点が見えてきたときや、ある評価軸で全員が同じような点数になっていると気づいたときです。
人の面接では、評価軸を変えても、過去の面接を新しい評価軸で採点し直すことは簡単ではありません。録画を一人ずつ見直す必要があり、手間がかかります。さらに、採用した人のその後を知っている面接官は、その印象に引きずられて評価しがちです。そのため、新しい評価軸は、次の面接から使い始めるのが普通です。良い評価軸だったかが分かるのは、さらに先になります。
AI面接では
面接の全対話記録が残るので、書き換えた評価軸で過去の面接を採点し直せる
AI面接では、面接の全対話記録が文字起こしとして残ります。評価軸を書き換えたあとで、その記録を新しい評価軸で採点し直せます。採点は記録に残った発言だけにもとづくので、入社後の結果を知っていても、その影響を受けません。
採点し直すと、同じ面接について、書き換え前後の点数を比べられます。どの候補者の点数がどう変わったか、候補者どうしの差が開いたか縮んだかを、次の選考を待たずに確かめられます。
当社の実験
評価軸を書き換えて採点し直すと、同じ4人の差が開いた
2026年10月に、カスタマーサクセス職を想定し、回答の具体さが違う4人のペルソナを設定して面接記録をつくり、試しました。質問はすべて同じで、回答の具体さだけを変えています。候補者Aは数字と経緯を挙げて具体的に答え、候補者Dはほとんど答えません。候補者Bと候補者Cは、その間です。
最初に「コミュニケーション力があるか」「主体性があるか」のような、あいまいな評価軸で採点しました。次に、同じ4つの観点を「5点はどのような回答か、3点はどのような回答か」まで書いた評価軸に書き換え、同じ面接記録を採点し直しました。採点には、Proomiを使い、それぞれ20回ずつ採点しました。
実験で使った評価軸の例(「主体性」の観点)
書き換え前
主体性があるか
段階の説明はなし
書き換え後
主体的に動いた経験
ほかの評価軸も同様に書き換えて再評価しました。
同じ4人の面接を、評価軸を書き換えて採点し直したときの平均点(5点満点、各20回)
書き換え前:あいまいな評価軸
AとDの差は3.2点。Dの最高点がCの最低点に並ぶ
書き換え後:各段階の説明を加えた評価軸
AとDの差は3.8点。20回とも順位は入れ替わらない
平均点は、4つの評価軸の点数の平均を、20回分さらに平均した値です。面接記録は、ペルソナを設定してつくったものです。採点は、同じ記録を20回ずつ繰り返しました。
書き換え前は、候補者Dの平均点が1.45点でした。候補者Dは「いろいろ勉強したいです」とだけ答えていますが、成長意欲の評価軸では20回中12回が2点でした。評価軸の段階が決まっていないと、中身の薄い回答にも点数が付きやすくなります。
書き換え後は、候補者Dの平均点が1.01点に下がり、候補者Aとの差は3.2点から3.8点に開きました。合否の線が引かれやすい候補者Bと候補者Cの差も、0.75点から1.26点に開きました。書き換え前は、候補者Dの最も高い合計点が候補者Cの最も低い合計点に並んでいましたが、書き換え後は、4人の順位が20回とも入れ替わりませんでした。
点数が一部に集まると、評価軸を増やしても判断材料は増えません。この点は「評価軸の数は、判断材料の数ではない」で詳しくまとめています。
生成AIの特徴
点数が分かれる回答は、評価軸を書き換える手がかりになる
生成AIは、次に来る言葉を確率にもとづいて選びながら文章を作る仕組みです。そのため、同じ面接記録を同じ評価軸で採点しても、毎回まったく同じ点数になるとは限りません。ただし、はっきりした回答の点数は、ほとんど動きません。点数が分かれるのは、回答が評価軸の2つの段階の説明のどちらにも当てはまるときです。
たとえば「早めに連絡するように気をつけています」という回答は、反省はあっても、何をどう変えたかは具体的ではありません。「反省はあるが、変えたことが曖昧」という段階にも当てはまり、それより一段低いとも読めます。
言い換えると、点数が分かれた回答は、評価軸の段階の説明が回答を区別しきれていない箇所を示しています。こうした回答では、人の面接官でもAIでも評価が分かれます。AIでは同じ回答を何度でも採点し直せるので、どの回答のどの評価軸で分かれるかを、全員分の面接で確かめられます。評価軸を書き換えるときは、この箇所が手がかりになります。
分かれた回答をどちらの段階として扱うかは、評価の根拠と面接記録を読んで、人が決めます。AIの点数は、判断の材料です。
過去面接記録では試せないこと
変えられるのは回答の読み方で、何を聞いたかは変えられない
過去の面接記録で試すときは、注意点が2つあります。
01
過去の面接で聞いたことだけを試せる
採点は、面接で実際に出た発言だけにもとづくため、過去の面接で聞いたことだけを試せます。質問の見直しは、次の面接から反映します。
02
書き換えた評価軸は、別の面接で確かめる
同じ面接で書き換えと確認を繰り返すと、たまたま当てはまる評価軸ができます。件数が十分なら、過去の面接を2つに分け、片方で書き換え、もう片方で確かめます。少なければ、次の選考で確かめます。
採点し直すことで、予測力がそのまま上がるわけではありません。予測力を上げるための材料が、次の選考を待たずに手元にそろう、ということです。入社後の結果で確かめるときの限界は「面接の評価が正しかったかは、入社後にしか分からない」にまとめています。
過去面接を使って評価軸の見直しを試せる条件
自社の評価軸を書けるサービスだから、書き換えて試せる
過去の面接を新しい評価軸で採点し直せるのは、評価軸そのものを自社の言葉で書けるからです。評価軸がサービス側で決まっている場合、重みづけは変えられても、評価軸の中身は書き換えられません。中身を書き換えられなければ、同じ面接の読み方も変わりません。
自社の言葉で書けると、段階の説明に、業界の言葉や、自社で活躍している人の行動を書き込めます。たとえば、SaaSのカスタマーサクセス職なら、次のように書けます。
自社の言葉で書いた段階の例(SaaSのカスタマーサクセス職)
データにもとづく顧客の定着支援
業界の言葉や、自社で活躍している人の行動を、そのまま段階の言葉にできます。
Proomiでは、評価軸を自社で定義できます。過去の面接を書き換えた評価軸で採点し直す作業は、当社が伴走して行います。
比較のポイント
評価軸を書き換えて試せるかは、3点で確かめる
AI面接サービスを比べるときは、次の3点を確かめると、評価軸を見直しながら使い続けられるかが分かります。
01
評価軸の中身を、自社の言葉で書けるか
重みづけを変えられるだけでは、同じ回答の読み方は変わりません。
02
面接の全対話記録と、評価の根拠が残るか
記録がなければ、過去の面接を採点し直せません。根拠があれば、点数が変わった理由を発言までさかのぼれます。
03
書き換えた評価軸で、過去の面接を採点し直せるか
サービス側の支援も含めて、対応の範囲を確かめてください。
Q&A
よくある質問
評価軸は、どのくらいの頻度で見直せばよいですか
決まった頻度はありません。点数が一部に集まっている評価軸に気づいたとき、入社後の結果がまとまったとき、職種の仕事内容が変わったときが、見直す目安です。
質問も一緒に見直せますか
質問の見直しは、次の面接から反映されます。過去の面接で聞いていないことは、採点し直しても点数になりません。評価軸の書き換えは過去の面接で試せますが、質問の見直しは次の面接の結果を待つ必要があります。
何件くらいの面接があれば試せますか
点数の散らばりを見るには、職種ごとに100件程度が目安です。数十件では、1人の点数で結果が動き、評価軸を書き換えた影響と偶然を見分けられません。
次に読む
点数が候補者を分けているか、評価が正しかったかも確かめる
評価軸を書き換える前に、いまの点数が候補者を分けているか、入社後の結果と結びついていたかを確かめておくと、どの評価軸から見直すかを決めやすくなります。
いまの評価軸を、一度そのまま見せてください
お持ちの評価軸と過去の面接で、評価軸の書き換えを試せるかを、一緒に確かめます。無料・約30分。